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幸せすぎるのも不幸だね

ただただ愛を叫ぶ場所

映画『WE ARE Perfume〜WORLD TOUR 3rd DOCUMENT〜』

映画 Perfume


これまでの15年。
これからの未来
過去と未来をつなぐ、
Perfumeの"今"を描いた
ドキュメンタリー



パンフレットの1ページ目には、そんな言葉が刻まれている。



常に時代の最先端をゆく彼女達の歴史が知りたかった。下積み時代が長かったというのを最近知ったし、サクセスストーリーのようなものを期待して映画館に向かった。



しかし蓋を開けてみれば、過去の歴史にはほぼ触れられていなかった。苦労した話とか映像はほぼ出てこない。こんな苦労して、こんな我慢して、今があるんだよ。という映画では全くない。悲しみや苦しみは全く感じない。努力や苦労は見せないのが当たり前、そんな感じ。

一生懸命、英語での挨拶を練習している様子は映し出されるけど本番でどうなったかは映さない。本番直前にセットリストが変わり、急遽入れる事になった曲を「振り起こししなきゃ〜」と言う様子は映ってるけど、振り起こしている映像は出てこない。


多分、それが自然だからだ。彼女達にとって完璧な姿を見せるのが当たり前なのだ。


そう思っていたからロンドン公演の時、フリを完全に忘れたのっちが意外だった。普段全然間違えるイメージがないPerfume(というかフリが細かいから多少ミスしても私は多分気付いてない)。でも、ロンドン公演の時は盛大に間違ってて驚いた。お客さんにお尻をむけて、完全にフリーズしてるのっちにちょっと笑った。真っ白になってたのがよく分かった。

でも、その様子を見て私は少し安心した。ちゃんとこの世界の人なんだなと思えた。私の大好きなアイドルは2.5次元だけどPerfume完全に3次元を生きてた。

すっげー、3次元だった。(語彙不足)

うん。なんて言えばいいのだろう。限りなくフィクションに近いノンフィクションで彼女達は生きてた。現実離れしたかっこよくてかわいいパフォーマンスをしても、最新技術を使っていても、夢か現実か見ている人が一瞬分からなくなっても、その間もずっとPerfumeは3次元にいた。ただ、ひたすら現実世界でかっこよく、そして可愛く生き続けていた。だってみんなすごい普通なんだ。3人が女の子達からPerfumeになる瞬間がどこなのか全く分からなかった。

アイドルだと嫌でも分かってしまう。ステージの上にいるのは完全にアイドルとして生きてる彼女達だ。だからこそ、ステージを降りた瞬間に少女に変わるところをドキュメンタリーではフューチャーする。でもこれは違った。ステージに居るのもPerfumeだけど、ステージから降りた時に居るのもPerfumeだった。逆にいえば、普段の姿は間違いなく西脇綾香大本彩乃樫野有香だけど、ステージにいるのも紛れもなく西脇綾香大本彩乃樫野有香の3人だった。

そう思ったのは、のっちがインタビューで「中田さんの曲も、MIKIKOさん(振り付け師の方)の振り付けもすごく好きだからこそ、大本彩乃が踊ってるからかっこいいと思われたい」と言っていたというのもある。『のっち』ではなくて『大本彩乃』が踊っているのだ。




さっき普通と言ったのは、そういう意味で普通なのだ。いつ、どこを切り取ってもPerfume

台湾でケーキや差し入れを喜ぶPerfume、シンガポールでマーライオンにはしゃぐPerfume、ロスでチーズバーガーを食べるPerfume、ロンドンでかわいい小物を物色してるPerfume、ニューヨークという街に圧倒されるPerfume

ワールドツアーの合間という事を忘れるくらい普通だったし、OLさんの休日ですと紹介されたら納得できるような感じすらした。

そんな普通の彼女達が世界を変えていた。

彼女達のパフォーマンスを見た世界中の、まさに老若男女が手をあげ、歌い、涙を流していた。

"人生を変えてもらった"

そんな言葉を使う人がたくさんいた。
広島で夢を見ていた彼女達は今、世界中の人達に夢を見せていた。
世界を変えていたのは、夢を追い続ける、普通の女の子達だった。





あーちゃんが、台湾での公演の前に色紙に書いていた言葉がある。

"少しでも日本の良さが伝わりますように"

あぁ、この人たちは日本を背負ってるんだ。
そんな気持ちでパフォーマンスしてるんだ。
これが日本だと思われてもいいように、常に全力なんだ。きっと自分の為じゃない。グループのパフォーマンスが良く見えるように、日本のエンターテイメントの力を見せられるように、最高のものをお客さんに届けられるように全力なんだ。

Perfumeが秘めた静かな想いに涙が出た。


円陣の時に叫ぶ言葉は頑張るぞ、ただそれだけ。円陣が終わり、ステージに向かう。その時毎回スタッフから『enjoy!!!!!』と声をかけられるPerfume。『がんばれ!』でも、『いってらっしゃい!』でもなく、『enjoy!!!!』と言われるのがとってもPerfumeらしいと思った。いつでも彼女達は楽しんでいる。

何回も比べるようで申し訳ないが(私は根っからのドルヲタなので許してほしい)、アイドルはみんなどこか本人とは違う感じがする。本人とは別の、アイドルとしての彼女達が夢の中を生きている感じだ。魔法にかかっている、とでも言うべきか。だからこそ、卒業しなければいけない。いつか魔法は切れる。卒業して、魔法が切れてから自分の力で輝いていくのはほんの一握りだ。

でもPerfumeは多分、これからもずっと輝き続ける。だって彼女達は最初から魔法になんてかかっていない。夢も現実も、常に同じ人が背負っている。今もこれからも、輝いているのはPerfume自身だ。






映画の最後の方に、世界中の人達が手を挙げて歌う映像が流れながら『MY COLOR』がかかる。



手のひらが世界中 繋がるウィンドウ
指先でつかむのはどの未来?
空を飛び交う光になって こんなワクワクも届くのかな



ちゃんと手のひらは世界中に繋がっていた。
ワクワクも届いていた。



これから彼女達はどんな景色を見るのか。
私達にどんなものを見せてくれるのか。



こんな私のワクワクは彼女達に届くだろうか。